今日はバッグ取出しと同時のコンデンスリッチ豊胸。そしてベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の方でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。
今日はややショッキングな画像(動画)かもしれませんが、硬いバッグで悩んでいらっしゃる方に、お一人でもご参考になればと思い書いています。(下記、モニターの方です)
約20年前に乳房下縁から挿入したシリコンバッグが高度に石灰化、変形し、痛み(ひきつれ感)や冷たさ(違和感)に悩まされご来院なさった方です。
お分かりのように、ボールが入ったように変形した胸です。触るとカチカチで卵の様です。
温泉に行くにも困るとの事でご来院。コンデンスリッチ豊胸での柔らかな胸を希望なさいました。
私の場合、通常バッグは脇から抜去します。(日本人の場合、ほとんどバッグは脇下から挿入してある(つまり傷が脇下にある)ため、傷を増やしたくない為)ただ、ケースバイケースで、程度によっては柔軟に考えなければなりません。(幸いこの方は、元々乳房下から挿入してあったので、傷も増やさずに済みましたが)今回は、まれにみる、乳房下からのアプローチです。その最たる理由は、傷を増やさない事ではなく、石灰化が強いというものです。エコーで見ても被膜下の情報が得られないくらいの・・・エコーの場合、強い石灰化があればその下の情報を映し出すことはできません・・・強い石灰化です。
さて、こういった場合、バッグを取り出したらどうなるでしょう?
このように、卵の殻の一部だけが割れて凹み、周りは硬く、辺縁を形成しています。これを予想出来る場合、私は石灰化組織を直視下に取り出せる乳房下、もしくは乳輪下縁を選択します。(逆に言えば、脇下からでは十分に石灰化が取れないという事です・・・・だからといって、安易に選ぶべきでないと考えています。下記参照。
これを軟らかくして自然な胸にするには①石灰化を取る事②脂肪を注入する事です。
石灰化は特殊な器具で皮一枚の被膜(卵の薄皮みたいな感じ)を破らない様に掻き出し、十分に洗浄します。
そして、脂肪を細かく丁寧に各層に注入していきます。・・・・・今回はバッグは乳腺下に存在した為、注入できる層は①皮下②被膜上(乳腺下)③被膜下(大胸筋内)④大胸筋下です。
そうすると、自然で柔らかい胸の完成です。
なお、脂肪の採取も大切です。動画にあるようにどのように採取したらラインが綺麗になるか、たるまないか、をその個人個人に合わせマーキング、そして正確に吸引(採取)します。
やや前置きが長くなりました。動画をどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=uNoJqAu0W6o&feature=youtu.be
いかがでしたか?
お陰様で、当院は他院からの紹介を含め、たくさんの手術をさせていただいています。そうなると、もちろんこういった難しいケースも出てきます。でも私は決めています。諦めません。なぜなら外科医ですから。私たちはこういった難しいケースを担当することも多々ありますが、最も大切なのは、
当たり前にキレイになるべき患者様を、当たり前に安全にキレイにすることです。
手術が難しかろうが簡単だろうが、その手術を受ける方にとってベストのアドバイス(判断)と、それを可能にするデバイス(機械・器具)を使い、最善の技術(スキル/テクニック)をもって、全ての方に全力で接する事だと考えています。
ちょっと熱くなりすぎましたね。ゴメンナサイ。
今日も手術をなさって下さった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。