シリコンバッグの破損

今日はシリコンバッグ(乳房インプラント)抜去と同時のコンデンスリッチ豊胸、そしてベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の手術でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。

シリコンバッグ抜去と同時のコンデンスリッチ豊胸の方は、10年以上前にシリコンを挿入されている方でした。片方は破損してカプセル拘縮が強く、左右の胸の高さも大きく違っている状態で、皮膚とバッグの距離が2、3ミリと皮下組織が極端に圧排されていました。太腿からデザイン性を重視して採取した脂肪をもとにコンデンスリッチファット(CRF)を抽出し、脇の下からバッグを抜去した後、皮下やカプセル上に注入。菲薄でしたが、十分量を注入できました。

また、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)の方は可能な限り不要な(大量の)脂肪を除去し、4Dマルチレイヤーテクニックで肌を引き締めています。結果を楽しみにしていてください。

さて、今日はバッグ(乳房インプラント)の破損に関してお話しします。

バッグには残念ながら寿命があります。もちろん今の素材は以前に比べはるかに良い素材ですが、やはり破損はありえます。今のシリコンバッグの主流はコヒーシブタイプというもので、万が一バッグが破れても(亀裂が入っても)流れ出さないタイプです。ただ逆に言うと、以前比較的多く用いられていたジェル状のシリコンに比べ硬くなります。また、ある一定の圧を越せばいくらコヒーシブでもシリコンがバッグ外にはみ出ます。

このはみ出た(もしくは流出した)シリコンは自分の被膜によって覆われていますので、一般的には問題ない・・・シリコンバッグが破損して被膜内にある場合、身体にはほとんど影響ありません・・・のですが、この破損(流出、亀裂)が起こると、(ほとんどの確率で)カプセル拘縮が強くなり、触感が硬く、また、変形や位置の偏移が起きてしまいます。

今まで数多くの破損したシリコンバッグを取り出してきました。術前のエコーでほとんどの場合、診断がつきます。

片方だけ破損している場合も多く、そういった場合は破損側のみの高度カプセル拘縮といった症例が多いです。(もちろん両側のカプセル拘縮で、両側とも破損というケースも多々あります)

シリコンバッグ(乳房インプラント)は乳房の形を整えるうえで、今では欠かせない大切なものですが、長期的に多少の問題があることは(ある程度の確率で)避けられません。

そういった背景の中、シリコンバッグ(乳房インプラント)を取出して、自分の脂肪で柔らかくするといった方法は必須になってくると思います。私もそういった意味では、今後の医学にとって必要だと十分に自覚しながら、最大限の事を患者様に提供したいと考えています。

今日も手術なさってくれた方、そして、手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

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