石灰化の強いバッグ摘出と同時の脂肪注入

今日は福岡でバッグ取出しと同時のコンデンスリッチ豊胸でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。

手術の内容は高度石灰化した乳腺下に入っているバッグで、皮膚からバッグまでの距離が2.5mmという合併症のリスクが高いだろう方の、抜去と同時のコンデンスリッチ豊胸でした。

バッグの挿入口は乳房下縁、ご本人の希望は同じ傷又は脇の下の目立たない場所という事でしたので、前回と同じ乳房下縁切開で行う事にしました。

今までの経験上、エコーで皮膚からバッグまでの距離が2.5ミリ以下の場合、被膜を切除(切開でない)すると、皮膚組織が薄すぎて、十分な脂肪注入ができません。しかし石灰化は高度で、卵の殻が被膜内を覆っている様な状態(実際には卵の殻より厚い)でしたので、バッグだけを取り出しても殻が残り硬いままの胸という、選択に困るケースでした。

最終的には「術中判断に任せます」と、ご本人が言って下さったため乳房下縁切開でアプローチするに至りました。高度石灰化したカプセルを開けるとバッグは破損しており、バッグの被膜及び内容物(シリコンジェル)を完全に取出したところ、厚い石灰化が同じ状態で存在し、ドーム状のままでした。

被膜切除したいが、皮膚からバッグまで2.5ミリという事を考えると、被膜除去は皮膚へのダメージが強すぎると判断し、可能な限り石灰化を被膜一枚残しつつ内部より除去、十分に洗浄し、十分に軟らかくなった時点で被膜外、そして被膜下(乳腺下のバッグだったため、大胸筋内、大胸筋下)のスペースに脂肪を分散注入し、柔らかい胸を取り戻しました。

最近はお陰様で多くの手術をさせていただき、症例総数を増やすと共に、一見、改善困難な症例もご本人の許しを得て手術させていただいています。

私たち、外科医は毎回の手術で、その時ベストの手術を提供する義務があります。つまり、私たち自身の技術を試されます。毎回悩み、その時できる最善の方法を考えます。それが私たちの仕事であり宿命です。より良い手術をしたいと毎日毎日思って、そして手術なさって下さった方がより幸せであります様にと願いつつ、一日を終えます。

今日も手術をなさって下さった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。

 

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