今日は福岡院で、男性のベイザー4D手術(シックスパック)、そしてヒアルロン酸除去と同時のコンデンスリッチ豊胸でした。手術は問題なく終わっています。お疲れ様でした。
また、今日は同郷の形成外科専門医のドクターが手術を勉強しに来てくれて、いろんな役に立つディスカッションができました。ありがとうございました。
さて、今日手術をお受けになった方はたるみが比較的強い方でした。こういった場合、以前はたくさん脂肪を取ると余計にたるみが強くなってしまうため、手術はあまりしない傾向、もしくはあまり脂肪を取らない脂肪吸引が一般的でした。しかし、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)が出た今は違います。
そこで、今日は脂肪吸引の大きな問題点、たるみに関してお話します。
脂肪層はいくつかの層に分かれています。
簡単に言いますと、浅い層(superficial)、中間層、深い層の3層です。
このうち、浅い層を上手に扱ってあげないと皮膚が収縮できず、弛んでしまう脂肪吸引になってしまいます。
古い考え方では、表層の脂肪を吸引するとデコボコになるしダメージも強いから、中間層を吸引しろという考えでした。また、深い層も筋肉に近く出血しやすいし危ないため、吸引しないというのが定説でした。・・・実は今でもこういった考えでの脂肪吸引が、多々行われているのが実態です。・・・つまり弛んでしまう脂肪吸引です。
そこで考え出されたのが、スーパーフィッシャル・リポサクションです。直訳すると「浅層に対する脂肪吸引」になります。
少し昔の話(歴史的な話)になりますが説明します。
以前は上述のように中間層(から深層)に対してだけの脂肪吸引だったのに対し、GasparottiやGasperoniらは1990年より脂肪の表層も吸引するsuperficial liposuctionを提唱し(文献1,2)、皮膚の収縮を促す事により下腹部や臀部など重力で下垂しやすい部位、そして、太ももなどの弛みやすい場所へも適応を広めたのです。
しかし従来の脂肪吸引ではなかなか浅い層の脂肪をうまく取れませんでした。(出血やダメージが多かったですし)無理にとると凸凹にもなっていました。
そこでベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)がとても役立つのです。
ベイザーリポは熱をほとんど発生させず(熱で溶かすのではなくキャビテーション効果)脂肪の結合をゆるくし(バラバラにし)、硬い脂肪も吸引しやすくします。
もちろん皮下直下の浅い脂肪層に対してもです。
よって以前の脂肪吸引に比し、浅い層を均等に(凸凹にならずに)取りやすくなりました。・・・もちろん必要以上にぺらぺらに薄くすると100%皮膚のダメージが起きますので、間違ってもしてはいけません。・・・残念ながら、このぺらぺらにしすぎるという他院トラブルの修正で当院の外来に多くの方がいらっしゃいますが、完全にもとの肌質に戻すことは正直困難です。
ですから、皮膚の収縮を助ける手技がベイザーリポを用いる事でずいぶんやり易くなりました。
つまり、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)を使うことによって、従来に比べ皮膚の収縮力が高い手術が可能となったのです。
これは2012年のPRS上の論文:Multicenter, Prospective, Randomized, Single-Blind, Controlled Clinical Trial Comparing VASER-Assisted Lipoplasty and Suction-Assisted Lipoplasty (文献3) でも明らかにされ、話題となりました。
ただ、ベイザーリポ(ベイザー脂肪吸引)さえ使えば皮膚が収縮するのではなく、皮膚を収縮させるテクニックを助けるのがベイザーリポという事です。
言い換えると、同じベイザーリポを用いてもテクニック(術者の技量)によって、その結果(今回は収縮力)が大きく変わってしまいます。
そうは言っても、新しい技術、そして機械の開発、そして医学の進歩で、よりいろんなことが可能になってきますね。嬉しい限りです。
今日も手術をなさってくださった方、そして手術に携わってくれたスタッフに感謝です。