今日は脂肪・脂肪幹細胞に関する最新のトピックスです。
脂肪幹細胞(ASCs)はその名の通り脂肪細胞に含まれます。
脂肪幹細胞を説明しだすと、恐ろしく長くなるので、皆さんの理解としては、①脂肪の卵②血流改善に関与する細胞 といった感覚で理解してもらって良いでしょう。
さてその効果は?
①生きた成熟脂肪細胞と同時に存在すれば脂肪組織としてのボリュームとなる。
②成熟脂肪細胞が無い状態だとボリュームにはならず、組織の肥沃化、血流改善、肌質改善に関与する。
となります。
最近は①ボリューム改善・・・例えば豊胸、顔の立体形成・・・はもちろん、②肥沃化、血流、肌質改善に注目されています。
この脂肪を集める方法として、コラゲナーゼという酵素を使う方法(セリューションが有名)が行われてきましたが、最近の研究では酵素(コラゲナーゼ)を使わず、ノンケミカルに脂肪幹細胞を取り出す技術が注目を浴びています。
当院では脂肪幹細胞を濃縮する方法として長い間、メカニカルに行っていました。それが我々が行っている脂肪のマイクロ化=マイクロCRFです。
我々と同じ方法で作った脂肪幹細胞の有用性を東大のグループ(東京大学 Mashiko Takanobu先生、現自治医科大教授Yoshimura Koutaro 先生ら、)がPRS(権威ある形成外科医学雑誌)で論文をとして紹介しています。(下の図:まだ新しすぎて雑誌に載っておらず、オンラインファーストで先に紹介されています)
結論としては、メカニカルにマイクロ化した脂肪(=マイクロCRF)は脂肪幹細胞(ASCs)や血管内皮細胞(ECs)を集める方法として有効で、(脂肪に添加することで)ボリュームの改善の治療(例えばバストやお顔)のみならず、組織の再生、肥沃化として使用することができる というものです。
私たちがたくさん行ってきたやり方が、医学的に証明されると嬉しいもので、皆さんにも紹介させて頂いています。
また、今月のPRS 誌にメカニカルに抽出されたSVF(stromal vascular fraction:間質血管細胞群=脂肪幹細胞や血管内皮細胞)はコラゲナーゼを用いた方法と同じくらいstemness(幹細胞性)、免疫抑制作用があると報告されています。
私は俗にいう、(脂肪に関わる事を専門にしている)臨床的な外科医です。
しかし、こういった基礎医学的な事は医学の進歩には必須な事です。これらを熱心に研究してくださっている先生方に、本当に感謝して、患者様に還元していきたいと思います。